小便器まわりの観察

水道の普及により一般住宅でも洋式便器のみの設置とする家庭がほとんどになりましたが、地域で暮らす後期高齢者の方たちのお住まいは、まだ和式便器小便器の両方がある場合が多く、それぞれ個室になっています。そのため、介護保険における住宅改修で最も要望の多い手すり取り付け工事では、どの位置にどのように取り付けるべきかの判断がとても難しいのです。アセスメントで要望を聞きながら探りながら、実際に現場(トイレ)で動作確認をして判断しています。

脳梗塞で片麻痺のある男性(要介護1)は、自立歩行が可能でトイレも小便器を使用していましたが、排尿時に身体を支える手すりがほしいという。この男性が排尿する際に必要な手すりの位置を探るためトイレの調査をしたところ、小便器の上正面壁に黒ずんでいる部分を見つけました。ご本人に動作を行ってもらうと、片麻痺でバランスが取れないうえに片手しか使えないため、自分の身体を支える方法として壁に額をつけていることが確認できました。毎日のことなので、額の汗が壁に染みついて黒ずんだものと思われます。洋式便器もあるのですが、長年の習慣だからか排尿は小便器を使用したいとのことで、同居する息子や孫(男)も一緒に考えた結果、ご本人が手すりに胸を持たれかかれるように、ヨコ手すりを取り付けることにしました。

後日フォローアップで訪問した際の談話として、この手すりを設置したことにより男性がトイレで転倒する心配がなくなり、とても楽になったとご本人・家族ともに好評価でした。

対話の心得・第4条【暮らしの観察】 / 新・バリアフリー15ヶ条 / 第9条【トイレ】 / 転倒防止(秋田県M)

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