住まい手のネットワークから設計提案のヒントを得るために

居の住まい手であっても、一日24時間まったく誰とも関わらないということはなく、なんらかの人づきあいがあるものです。高齢の住まい手であれば家族以外でも、たとえば、かかりつけ病院の主治医や担当のケアマネジャー、お隣さん・ご近所さん、町内会や趣味のサークルの友人・知人などとの人間関係(=ネットワーク)が考えられます。

これらのネットワークを把握することで、住まいづくりの提案に活かせるヒントが見つかるかもしれません。たとえば、主治医やケアマネジャーから、この住まい手には服薬の管理が必要だという情報が得られたならば、内服薬ラックを部屋のどこに置くのかが改修計画の一つのポイントになったりもします。住まい手のネットワークについては、聞けるようであれば、まず住まい手本人に聞いてみましょう。ご本人が一番大切にしている人間関係をうかがうことができるかもしれません。

ネットワークを把握したとしても、そこから住まいづくりに活かせる情報を探ることは、非常に地道な作業です。「対話の心得:第4条 暮らしの観察」が、住まいの中の住まい手の動きにクローズアップするものだとすると、「対話の心得:第8条 多職種等との連携」は、住まい手を広い視野で俯瞰して捉えるものだといえる面があります。

手すりの位置を決めるのにも、住まい手を知る他職種からの意見が参考になるケースは多い。

対話の心得・第8条【多職種等との連携】(神奈川県W)

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住まい手のネットワークから設計提案のヒントを得るために」への3件のフィードバック

  1. 独居は「孤立」とは限らないですね!
    近頃の「孤立した生活」からすると、ご近所づきあいの顔見知り関係も大切ですね。

    生活関係者のネットワークの把握と、それを維持しながら暮らすための環境条件を、計画提案に反映するためには、どんな配慮が必要か。
    本人の了解を得たヒアリングだとしても、ネットワークの把握は医療や福祉のサービス提供する側の方々から情報を得る前に、ご本人から聞いて見たいと思いました。
    ご本人が、一番大切にされている関係を把握するためにも、是非!
    結果として、設計者が暮らし方の相談者として、関係者ネットワーク内に組み込まれることがありませんか。

  2. 一つの住宅に一人で住んでいる暮らし方を「独居」と言っても、人の流動性の大きな都市部と、人間関係に変動の少ない地方とでは、独居の質が大きく違いそうです。
    都市部で周囲との繋がりがなく孤立している「独居」と、住み慣れた地域で顔見知りの人たちに囲まれて暮らす「一人暮らし」を同じに捉えることができません。
    地域の中に住み込んでいる「一人暮らし」は、いくつになっても持っている能力を発揮しながらマイペースで過ごせる元気の元だったりします。

    関係者の連携を見える化するマインドマップを作成すると、生活の問題を関係者で共有でき住まいづくりに役立つと同時に、その後の暮らし方の維持にも役立ちます。

  3. 住まい作りの段階から、竣工後の暮らしを支える「様々なネットワーク」の力を引き出しておきたい。「様々なネットワーク」は、それぞれの気づきの異なる医療・福祉系の専門家や、近所付き合い・友人関係などですが、個別の気づきは共有されることが少ないのが現状です。

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