将来の手すり設置に備えた下地の補強

「新・バリアフリー15ヶ条:第13条」では、不安定な姿勢になるところの壁には手すりをつけるか、「必要な補強」をしておくことを提唱しています。「必要な補強」とはどのようなものでしょう。

木造の建物の場合、手すりを取り付けようとする室内の壁は厚みが約12mm石膏ボードを貼っていることが多く、その石膏ボードは壁の中に約45cm間隔で立てられた間柱(まばしら)に留め付けられています。石膏ボードは石膏を固めた建築材料で、軽くて曲がりの少ない施工しやすい材料ですが、材料そのものには強度がなく、硬いものでたたけば簡単に抜けてしまいます。手すりには全体重がかかることがあり、外れないようにしっかり壁に固定する必要があります。したがって、石膏ボードそのものに手すりを取り付けることはせず、石膏ボードの内側にある木の柱や間柱に固定します。

玄関を例に挙げると、上がり框(あがりがまち)の位置に縦型の手すりを取り付けようとした場合、付けたい位置に柱や間柱が入っているとは限りません。耐震補強などの大規模なリフォーム工事をするときならば、石膏ボードをはがして間柱と間柱の間に手すりを取り付けるための木材(補強材)を入れることもできます。しかし、手すりを取り付けるだけの場合には、壁表面に間柱をつなぐ水平の木材を取り付け、それに縦手すりを固定する方法があります。

できれば新築時や大規模リフォーム時に、あらかじめ将来的に手すりが必要になりそうな壁を予測して補強材を入れておくと、いざ必要となったときに簡単にきれいに手すりが取り付けられるのでお勧めしています。

新・バリアフリー15ヶ条 / 第13条【手すり】(茨城県T)

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将来の手すり設置に備えた下地の補強」への3件のフィードバック

  1. 質問させてください(建築関係ではない一般人です)。
    手すりを柱や間柱に固定するという記述がありますが、間柱でもいいのでしょうか?
    福祉住環境コーディネーター3級のテキストには、間柱は柱よりも細く、手すりの受け金具が間柱の幅に納まらないことがある(木ネジが利きにくい)ので、間柱に留めるのは避けるようにと記述されているので、お聞きする次第です。

    • A様、ご指摘ありがとうございます。

      確かに、手すりの金物(ブラケット)に空いているビス穴の間隔が広い場合は、30ミリ幅程度(多くは柱の1/3=105/3)の間柱でもビスが外れてしまいます。その間隔はブラケットによって違うと思われます。
      ちなみに私が間柱で使うのは添付資料のTOTO製で間柱用というタイプを使います。
      矢崎化工でも同じように間柱で止付けられるようです。
      いずれにしても、設計時、施工時に止付けられるかの下調べは必要です。

      したがって3級テキストのようにすべてがダメというわけでもなく、間柱に止付けることはできます。

      なお縦手すり、水平手すり、階段手すり、てすり端部・中間部などで使うブラケット、形状も違うので注意が必要です。
      初めて取り付ける大工さんでなければ、その施工方法は、ほぼ知っているのではないかと思います。

  2. T様、ご回答いただき、ありがとうございます。
    「間柱にはダメ・間柱でもいい」ということではなく、
    製品と下地の関係を確かめて取り付けることが重要なんですね。
    ありがとうございました。

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