ひとりの生活者として認知症の方と向き合う

「認知症」に対しては、「認知症の人は何もわからない・何もできなくなる」といった極端な誤解や偏見、先入観を持たれている人がまだまだ多く見受けられますが、近年は研究も進み、認知症の診断を受けた当事者からの発言も増え、認知症に関する既存の認識・評価は変わりつつあります。

認知症の人の中には、自分の物忘れに気づいて心配をしている人が大勢います。自分の物忘れによって他人に迷惑をかけてしまうことを恐れて、引きこもってしまう人が多いのです。介護者への抵抗や暴言、暴力などについても、必ずあるとは限りませんし、また、ある場合でも、本人がそうしたくなる状況や当然と考えられる理由があることが多いのです。

つまり、認知症の人に行動の変化が生まれるのには、身体や心の変化と環境の間に不具合が生じている可能性があるということを踏まえ、本人が発する情報を(自らの思いを言葉にしにくい人であっても)丁寧に捉えようとする姿勢が求められるといえます。 そして、ご本人には「何に困っているか」を尋ねるだけではなく、「何をやりたいと思っているか」を汲み取ろうとする視点を大事にしてください。

対話の心得・第2条【雰囲気づくり】 / 認知症(東京都N)

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ひとりの生活者として認知症の方と向き合う」への1件のフィードバック

  1. 医療や介護の専門職が使うBPSDという言葉がありますが、認知症と診断された人の言動を「症状」扱いしてしまい、置かれた個別の状況から切り離して「人として把握すること」をやめることに繋がるように思います。
    環境面からのアプローチを通して何らかの状況打開を図ろうとするときには、「個別の現場の状況把握」を取り組みの出発点にしたいものです。
    ※BPSD:「行動・心理症状」または「周辺症状」Behavioral and Psychological Symptoms of Dementiaの略

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