トイレの使い方を分析しましょう

イレの計画で知っておきたいポイントを挙げてみます。

洋風便器の座面高さについて

車椅子利用者の水平移乗のための補高便座や幼児用の便座は、よく知られていたり準備もされていることが多いと思いますし、有効に利用されていると思います。しかしながら、高齢で背たけの小さい方など、すなわち座高高が低く、洋便器に座ると足裏が中に浮いてしまう方は、高齢による内臓の働きや、排便に必要な力が弱くなり、排便行為が困難な場合があります。足裏が床につかないと排便の力が十分に発揮できません。和風便器ではこの場合に問題は少ないと思いますが、洋風便器では工夫が必要です。幼児用の足置きで代用できることもありますが、十分に足裏が乗り、力をかけられる高さ(人により異なる)と強度を持った台を用意してあげましょう。内臓に大きな問題がないのに、排便にずいぶん時間がかかる方は一度試してみるとよいと思います。浴室用椅子、低い洗い場用椅子で、試してみてはいかかでしょう(高齢者施設での観察と試用からの経験)。

足裏に十分な力をかけられるように工夫

●住まい手に合う手すりの高さを確認

トイレに「手すり」はもはや常識ですが、設置位置については、まだその設置意図が十分に理解されず、取りつけられている場合があります。特別な理由を除き、便器からの立ち上がりの体重移動の負荷の軽減(主に縦手すり)と、利用時の姿勢保持(主に横手すり)が基本になります。体重移動とは、ここでは体全体の重心位置の移動を指します。高齢になると多少なりともお尻が後ろに出て、顎を前に出すようにして頭部を前に出す姿勢になりがちです。これにより体の重心位置が、中心(頭頂部中心から足裏の土踏まず中央部を通す線)から踵のあたりにずれます(これは研究機関の発表に基づいています)。この変化により、座った状態からの立ち上がりが体を前方へかなり起こさないと難しくなります。また、頭部が前方に出ているため、前後バランスが崩れやすくなっています。従って、座るときは横手すりを握ったり、座面に後ろ手を置いて座る方が出てきます。立ち上がり時には、縦手すりまで手を伸ばし引き寄せるようにして、体重移動を行い、部分的に体重も手すりにかけて、立ち上がり時の負荷を軽減し、立ち上がりを行います。

ゆえに、体と手すりの位置関係は、重要な意味を持ちます。特に縦手すりは、肩に近すぎる(縦手すりを掴んだときに腕、二の腕と脇が重なるような状態)と、役に立たないどころか、立とうした反動で、横へ転倒してしまうかもしれません。最適位置は人によりますが、便器の前(座ったときの体の前)の先端から20cm以上、横手すりは肘下の高さ(床より約60cm程度)としています。間取りよっては、縦手すり位置に、窓があったりして、取り付けられない場合もあります。こうした場合は、目的は体重移動ですから、横手すりを延長して、ななめ上方へ取り付ける等、体を手すりに沿って上方移動できるようにします。また、便器前方25cm程度、床上60cm以下に手すり上部がくるように、可動(上下または水平)式手すりを壁に取り付けたり、据え置き補助手すりを置いたりして、前方に手がかりをつけて、床へ押し付けるようにして立ち上がらせる方法もあります。

洗浄装置付き洋式便座(俗称シャワー便座)のコントロール装置について

新築時、改装時には洋式便器にほぼ100%の採用がある洗浄装置付き便座ですが、コントローラーは座面の横に付いているタイプではなく壁リモコンが望ましいでしょう。コントローラーが座面に付いているタイプだと、片麻痺(体の左右のどちらかに麻痺があること)や車椅子利用者でコントローラー側から移乗する必要のある方(多くの場合、既製品は座った時の右側)、認知症の方(場合による)、体のバランスを崩して前のめりで座面に手をついてしまうことが多い方は、利用できなかったり、誤って座る前に洗浄装置を作動させて、衣服や顔面にシャワーを浴びてしまうことがあるからです。壁リモコンであれば、取り付け位置が自由で、機能制限をして表示も大きい機種を選べるなどのメリットがあります。ただし動作電源の電池切れの心配がありますが、警告表示が出る(音声表示がないのが残念です)ものがほとんどのようです。また最近では、自家発電装置を組み込んで電源不要のものが実用化されています。いずれにしてもコストアップと機種やメーカーに制約がありますが、検討されてもよいかと思います。

新・バリアフリー15ヶ条 / 第9条【トイレ】 / 転倒防止 / 第15条【設備のコントロール】 / 電気・設備工事 / バリアフリーリフォーム (静岡県O)

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トイレの使い方を分析しましょう」への1件のフィードバック

  1. トイレの使い方としては、お座敷トイレと言われる、いざりで便器に寄り付き寝転んで使用するトイレ、便座の高さが、補高便座で賄う高さ、身体を持ち上げる機能付き便座がありますが、人工膝関節を使用されてる方で便座の高さを60センチに設定したこともあります。
    便器の下に高さ調整の台座を造りました。

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