出かけたくなる家を目指す

「新・バリアフリー15ヶ条:第4条」では、玄関の上がり框(あがりがまち)段差は10cm以下にすることを推奨しています。なぜそれが重要な事であるかについて述べたいと思います。

「ちょっと買い物に出かけたい」「今日は天気が良いので散歩してみようかしら」と思ったとしても、家の出入りで非常に苦労する住まいだとすれば、外出する気持ちが萎えてしまうということもあるかもしれません。体の機能が衰えたり不自由になったとしても、いつでも楽に外出できる環境であれば、外出する頻度が増えることでしょう。その結果、体の機能が保てたり、向上することさえあるのです。外出は、運動になるだけでなく気分転換にもなります。インドア派がいけないということではありません。外に出たい頻度は人それぞれです。ちょっと外に出たいと感じた時、その行為が実現しやすいかどうかがポイントなのです。

上がり框段差の10cm以下が実現すれば、玄関土間の椅子に座って靴を脱いだあと、そのまま玄関に上がれるかもしれません。あるいは、車いすの方にとっても、キャスター(前輪)の上がり降りがしやすい高さでもあります。

ただし、木造住宅では、上がり框の段差を10cm以下にするには、基礎の構造などにそれなりの特殊な工夫が必要ですので、住宅会社さんによっては、対応できないというケースも起こりえます。何が何でもクリアしなければならない基準ではなく、一つの参考アイデアとして捉えてください。

現状復帰を求められる賃貸住宅でも工夫次第で車いすで外出しやすい玄関に

新・バリアフリー15ヶ条 / 第4条【玄関】 / 設計提案ポイント2【人とのつながり】 / 元気に暮らす(兵庫県O)

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出かけたくなる家を目指す」への2件のフィードバック

  1. コロナ禍で感染を恐れてデイサービスが閉鎖され、自宅に籠もって生活しているうちに、心身ともに機能が低下してしまった高齢者が、かなりいるようです。
    身体を動かさないと、食欲も低下するし、意欲も落ちてしまい、感染を免れても健康を保てなくなってしまいます。

    部屋の換気を心がけるなら、家の外に出かけて光を浴びて深呼吸したいし、近所の顔見知と出会えば、互いの無事を確かめながら無駄話をしたい。気分転換は必須です。

    高齢対応住宅の上り框の高さ、介護用の車椅子の選択肢が少なかった頃の判断がいまだに残っているのでは? 小さな車輪の介助用車椅子が増えたことや、立位で乗り越える方の動作を考えると10cm程度が良さそうに思います。マニュアルは参考にしながらも杓子定規に守る必要はなく、個別事情の許す範囲で柔軟に対応したいものです。

  2. ひとの時間に左右されないで自分の都合で出掛けられる環境整備が大切だと思います。
    ドアーの開閉・施錠。
    写真の場合左右の紐でスロープ部分を上げ下げしてドアーを開けた後にスロープを下げる事で開口部を確保します。外部から紐でスロープ部分を引っ張って上げるとドアーは自分で閉まります。集合住宅の防火規定が生かされます。

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