「新・バリアフリー15ヶ条:第4条」では、玄関の上がり框(あがりがまち)段差は10cm以下にすることを推奨しています。なぜそれが重要な事であるかについて述べたいと思います。
「ちょっと買い物に出かけたい」「今日は天気が良いので散歩してみようかしら」と思ったとしても、家の出入りで非常に苦労する住まいだとすれば、外出する気持ちが萎えてしまうということもあるかもしれません。体の機能が衰えたり不自由になったとしても、いつでも楽に外出できる環境であれば、外出する頻度が増えることでしょう。その結果、体の機能が保てたり、向上することさえあるのです。外出は、運動になるだけでなく気分転換にもなります。インドア派がいけないということではありません。外に出たい頻度は人それぞれです。ちょっと外に出たいと感じた時、その行為が実現しやすいかどうかがポイントなのです。
上がり框段差の10cm以下が実現すれば、玄関土間の椅子に座って靴を脱いだあと、そのまま玄関に上がれるかもしれません。あるいは、車いすの方にとっても、キャスター(前輪)の上がり降りがしやすい高さでもあります。
ただし、木造住宅では、上がり框の段差を10cm以下にするには、基礎の構造などにそれなりの特殊な工夫が必要ですので、住宅会社さんによっては、対応できないというケースも起こりえます。何が何でもクリアしなければならない基準ではなく、一つの参考アイデアとして捉えてください。
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