ランニングコストや材料による体感温度の違いから暖房設備を考える

ヒートショックの予防のために暖房設備を入れる場合、温度設定によっては低温火傷のリスクやランニングコストが検討課題となることがあります。「暖かい床暖房」「寒くない床暖房」を比較して考えてみましょう。また、経年劣化に備えて、機器の交換ができるかどうかを考えておく必要があります。

全館床暖房の床下断熱材の施工

天然の無垢材と人工的な新建材とでは、材料による室内の空気感の違いがあることも考慮してみてください。冬季の台所やトイレ等の北側の部屋で、無垢材の敷居と、新建材のフロアーを触って比べてみると、同じ気温下でも体感温度が違うことがわかります。(ただし、無垢材に塗料が塗ってある場合は、新建材のフロアーと同じ冷たさに感じることもあるようです。)

新・バリアフリー15ヶ条 / 第2条【室内の環境】 / 第10条【洗面・脱衣室】 / 設計提案ポイント4【安心・安全性】 / 電気・設備工事 (熊本県O)

視覚や聴覚、嗅覚に対する配慮

「新・バリアフリー15ヶ条:第2条」では、室内の環境に配慮すべき点として、「水廻りや廊下等と各部屋間との温度差をなくす」ことのほか、視覚や聴覚、嗅覚に対する配慮を掲げています。それは、五感の反応や、生活時間の変化、生活スタイルの変化を想定することが大事だということです。

高齢になると、たとえば白内障などの視力の変化(低下)により、色の区別がつきにくくなったリ、文字が読みにくくなったリ、まぶしくなったりします。また、同居家族がいる場合、それが長年連れ添った夫婦間であっても生活時間(とくに就寝時間)の違いによる音のせいで睡眠が妨げられたりすることがあります。さらには、介護が必要となって寝室でおむつ替えをした場合に臭いがこもることもあります。

こうした身体機能や生活上の様々な変化は、若い頃にはなかなか気づかない点なので、バリアフリーリフォームをする際に、併せて気をつけておきたい内容です。

家にいる時間が長くなりがちな高齢者には、陽当たりや風通しも含めて、室内の環境に配慮することが、心地よい暮らしを継続するための必須条件だともいえます。

新・バリアフリー15ヶ条 / 第2条【室内の環境】(茨城県T)