生活に欠かせない電気をいつまでも使いやすく

生活に欠かせない電気をいつまでも使いやすくしておくための住まいづくりの着眼点について述べたいと思います。

新築にせよリフォームせよ、照明のスイッチやコンセントの高さがあまり重要と感じられずに、打合せが進みがちです。それには理由があります。打合せの際に使われるのが平面図だからです。平面図には「高さ」は文字でしか表現できませんので、使い勝手が良いのか悪いのかがイメージしにくいのです。

建築士がよくやってしまいがちな失敗例が、車いす利用の方がおられる住宅のインターホン(親機)の高さです。立っている方が画像を見やすい高さを標準(床から150cm程度)としていることが多いため、車いすの方にとっては見づらい、操作しづらいものとなってしまうというものです。こういったケースに対する解決策としては、立位の方も車いすの方も視線が届く、中間的な高さに設置するという手があります。もっとも昨今では、コードレス子機が附属しているものや、携帯端末と連携できるインターホンもありますので、必ずしもインターホン親機の位置や高さだけにこだわらなくてもよくなっています。

照明スイッチやコンセントの位置、高さなども、無理な姿勢をしなくても、どんな時にも使いやすいように配慮したいものです。通常のコンセントの高さは床から20~25cmくらいが一般的ですが、これだと、掃除機のコードを抜き差しするたびに腰をかがめる姿勢になったりします。床から40cm程度にするなど、高めに設置することも検討した方がよいかもしれません。ただし、掃除機についても、コードを抜き差ししない充電式や、自動で掃除してくれるロボットなどもありますので、何が最適かはご家庭によって変わってくると思われます。

分電盤(ブレーカー)がもっともよく設置されやすいのは、洗面所のドアの上など、非常に届きにくい場所です。小さな子供が触りにくいことや、低い位置に設置してしまうと家具などと干渉しやすいため、できるだけ邪魔にならない安全な場所が良いだろうという配慮だと思います。しかし高い所に手が届かなくなったり、椅子の上に登って何かをすることが危険になったりする時期を想定すると、やや低めに設置することも検討に値します。普段のリフォームでは、わざわざ分電盤の高さまで変更することはないかもしれませんが、新築やリノベーションの際には、電気系統も大幅な工事を伴いますので、改善を検討するチャンスといえるでしょう。

新・バリアフリー15ヶ条 / 第15条【設備のコントロール】 / 電気・設備工事 / バリアフリーリフォーム (兵庫県O)

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生活に欠かせない電気をいつまでも使いやすく」への1件のフィードバック

  1. 分電盤(ブレーカー)が落ちたときに、高齢の住人がすぐに自分で復旧して電気を使いたいだろうから、なるべく手の届く低い位置に取り付けておきたいです。

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