防災備蓄品が避難動線の妨げに…

齢者の住まいで災害に備える。この課題に対して、もちろんしっかりした耐震工事や安全対策工事などで災害に備えることもできますが、特別なことをしなくてもできることがないかを見つけて助言することも大切です。

高齢者の住環境整備に関わっているとよく見かける光景があります。それは、廊下や階段の端を収納代わりにして置かれているモノです。特によく見かけるのは、防災備蓄品として購入されたペットボトル入りの飲料水の段ボール箱です。東日本大震災以降、あの時の断水の苦い経験からこうした備蓄をなさる方が増えていますが、それが廊下の曲がり角や階段の踊り場に置かれている例をよく見ます。皮肉なことに防災備蓄品が避難動線の障害になっているのです。

もちろん備蓄自体は大切なことですが、問題はその保管場所です。廊下や階段での保管はやめた方がいいでしょう。有効幅員にもよりますが、日常的に安定した歩行姿勢を妨げる原因になり、地震などの緊急時には避難動線の妨げになる可能性もあります。廊下や階段にモノを置かず適切な場所へ保管するように生活改善する、これだけでも高齢者の住まいの安全性はぐっと高まります。

設計提案ポイント4【安心・安全性】 / 防災 (茨城県O)

家具への地震対策を怠らずに

間を収納家具等で仕切ると生活状況の変化に合わせて間取りが変更できます。この場合、家具に対する地震対策を施しておくことが必要です。ただし、市販の後付けの耐震突っ張り棒などは、設置位置によっては天井が破壊されることがあるので注意を要します。設置前に天井裏の構造を確認する必要があります。

なお、天井高さまでのタンスを造れば倒れません。実際の天井高さよりも20mmくらい低くして隙間をつくり、15mmの板を後からはさみ込むという方法であれば設置が容易になります。

高さのある家具は上部を活用して地震対策

設計提案ポイント4【安心・安全性】 / 防災 / バリアフリーリフォーム(熊本県O)

停電した夜間でも階段の段先が認識できる工夫

内階段の段鼻に蓄光機能が付いた滑り止めテープを付けることで、夜間の階段位置がはっきりします。

センサーライトの設置はぜひ検討したいところです。災害時の停電を考えると、乾電池式のタイプが大変便利です。取り外しができると、停電時の利用価値が上がります。

階段の段鼻に緊急時対応用の滑り止めテープを張り付け。停電した夜間でも段先が認識できる(写真右) 

新・バリアフリー15ヶ条 / 第5条【階段】 / 電気・設備工事 / 防災(熊本県O)