バリアフリーリフォームに取り掛かる前に

大規模なリフォームをする場合には、一時的な転居が必要になるかもしれません。工事の内容、規模によってかかる経費も大きく違いますので、専門家(住まいのバリアフリーを手がける建築士など)に相談をします。要介護の方の住まいでしたら、介護保険が定める工事内容について工事費の補助がありますので、市町村や専門家に問い合わせをします。住まいのバリアフリーを手がける建築士に聞いてもわかります。

住まいづくりは専門家とのコミュニケーションがとても大切です。住まい手の要望をしっかり伝えることが、住み続けられる家づくりの第一歩となります。

対話の心得・第1条【対話の機会づくり】 / バリアフリーリフォーム(茨城県T)

打合せ以外にも対話の機会を

「対話の心得:第1条」の解説に、「ご家族全員が必ずしも同じ考えや希望を持っているとは限りません」とあります。費用の主たる担い手であるご本人が高齢者の親で、同居家族が長男夫婦であるという例で考えてみましょう。

表面化はしていないもののご本人と長男の妻との折り合いが決して良くはなく、家族全体の打合せの場でもやや不穏な空気が感じられる、そんなケースでは、ご本人と同居家族(長男の妻)が牽制し合い、ご本人の要望や意向を聞き出しにくいことが往々にしてあります。

このような場合、長男の妻がいないところでご本人と対話する手段を考えてみましょう。携帯電話やメールで連絡を取ったり、ケアマネジャーなどを介して外で会うのも一つの方法です。
ただし、こうした行動を同居家族に内密にしておくと、知られたときに同居家族の信頼を損なう恐れがありますから、ご本人の立場に十分配慮したうえで、同居家族に知らせる心遣いも大切だといえます。 

対話の心得・第1条【対話の機会づくり】(神奈川県W)

立場の異なる複数の住まい手の存在に留意しましょう

費用の主たる担い手であるご本人のご要望が具体的であればあるほど、同居のご家族の存在を見逃してしまうことがあります。とりわけバリアフリー改修の場合、その特性として、ご本人の利便性だけを追求すると、ご本人以外のご家族にとっては不都合な改修となるケースが生じかねません。特にトイレや浴室など、プライバシーや生活サイクルに大きく関連する空間においては、同居のご家族の使い勝手にも考慮する必要があります。打合せの場に住まい手全員が立ち会うとは限りませんので、立場の異なる複数の住まい手の存在に留意し、その意向を汲み取ることを心がけましょう。

対話の心得・第1条【対話の機会づくり】(神奈川県W)