住まい手から得た情報を住まい手の許可なく「他者」に漏らしてはならないことは、対話の心得として基本中の基本です。そして、この原則において、「身内」でさえ「他者」に該当する場合が往々にしてあります。よくある例は、『住まい手がこうしたいと思っていることに対し、快く思っていない、または不要だと思っている家族がいる』というケースです。あるいは、『住まい手がこうしたいと思っているのには理由があるが、その理由は家族の誰にも知られたくないので秘密にしてほしいと頼まれる』というケースもあります。
こうしたケースは、その家族が同居であるか別居であるかを問わずよくあり、設計者はまさに板挟みの状況に置かれます。しかし、このような局面でこそ、個人情報を大事にしなくてはなりません。そのうえで、家族が納得できるような提案をできるかどうかで、設計者の力量が問われるといえます。
対話の心得・第9条【個人情報の保護】(神奈川県W)