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近ごろの若い人の中には縁側を知らない人が結構いる。つい最近も「ヒラメのエンガワならよく知っていますが、家にもエンガワがあるのですか」と真顔で話す若者に会った。いうまでもなく縁側は部屋と部屋をつなぐ廊下の役目としてだけでなく、腰をおろして庭を眺めたり、近所の人々とおしゃべりを交わしたりする、内部空間と外部空間をつなぐ貴重な役目を果たしてきた。
その縁側がなぜか最近の家では見かけることが少なくなった。どうやら住まいの洋風化や規格住宅の普及のほか、バリアフリー住宅を普及させるという考えからその段差が敬遠されていることなどが背景にある。
だがちょっとした工夫で縁側の使い道も広がる。高齢になり外出の機会が少なくなった場合でも縁側はサンルームに早変わりできる。車いすを使うようになっても第2の玄関として活用可能だ。その場合は縁側は車いすの通行や方向転換を配慮して、周辺の部屋と段差をつけないことと、奥行きを十分にとることが大切だ。
もちろん縁側に代わる呼び方でサンデッキと呼ぶ場合もある。いずれにしても大切なことは家の中で生活の質を高める空間として使うことである。
実務者会員 佐伯博章 (地域総合設計)
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