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家の配置を考えるとき、南側が広くなるように配置することが定石。庭を確保することや家の中に陽(ひ)を取り込むため必要なことだ。しかしあえて今回北側のスペースについて考えたい。
生活する上で、内でもない外でもないスペースは必要不可欠である。ごみの一時置き場や灯油等の保管、野菜のストックなど特に生活に密着した物スペースである。これらを北側に置けるように場所を確保したい。
住宅地であれば隣地から90センチ程度離して家を建てることが多い。これにもう50センチ多く取れれば、ここが物置の空間になる。
この部分の土間はコンクリートを施しておく。屋根(陽が通る材質が望ましい)を付ければ雨天も心配いらない。できれば水道も考えたい。釣りや野菜作りなどが趣味であればシンク(洗い台)があれば便利だし、照明やコンセントも装備すれば使い勝手も良くなる。台所や勝手口に続くように作ることも忘れずに。今は仕事で忙しいにしても、一線を退いた後、こうしたスペースがあれば趣味も広がる。
家を考えるときには華やかな場所に話が集中しがちである。しかし使いやすい家は生活に密着していることが重要だ。陽の当たらない部分も大切にしたい。
実務者会員 徳永栄一 (フォルム設計企画一級建築士事務所)
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