高齢社会の住まいをつくる会は、2001(平成13)年4月にバリアフリーの建築設計に関して一定の技術レベルを持つ実務者の全国組織として発足しました。
●バリアフリーに広がりをもたせる
私たちが考えているバリアフリー設計は、高齢になっても、障害を担っても、住み慣れた場所で居心地のよい快適な生活が続けられる家を設計することだと思っています。また、車いすを利用しても、友人宅を気軽に訪問できる家をデザインすることも重要ではないでしょうか。
そして、バリアフリー設計の理念を、高齢社会の住まいを少しでも良質なものへ導くことにより、バリアフリーが点(住まい)から線(地域)へ、そして面(社会)へと広がりをもたせることだと考えています。
そのためには、バリアフリー設計に豊富な実務経験をもつ技術者のネットワーク化が必要と考え「高齢社会の住まいをつくる会」を立ち上げました。
●バリアフリーのマニュアル化について
現在までに住環境整備に必要な技術資料として、長寿社会対応住宅設計の指針や住宅金融公庫の「バリアフリー住宅」設計基準などがあります。また、2000年に施行された介護保険でも「段差解消」や「手すりの取付」などが制度の対象になっています。
これらは住環境整備には、とても大切なものですが、あまりにも手法が強調されているために、バリアフリー設計が、部分的な問題解決の手段として捉えられているのではないかと危惧しています。
一方、「バリアフリー」や「ユニバーサルデザイン」が無規定に使用されることにより、さまざまな問題が生じているのではないでしょうか。その一因には、実務に基づく知識を反映し、実態に照らし合わせて、適切に作成されたとは言いがたい基準やマニュアルが、一般社会に流布していることが挙げられます。
●オピニオン・リーダーの役割
これまで、私たちは、ノーマライゼーションの理念に根ざしたバリアフリーの考え方や住宅とユニバーサルデザインを考える等の活動を行っています。
具体的には、優れた商品の推奨、一般の人を対象にした住宅相談、建築・福祉関連の会員向けのスキルアップセミナーや現場見学会、研究・調査のためのシンポジウムなどです。これからも、会としての社会的責任を果たすために、全国の思いを共にする仲間と手を結び、バリアフリー設計の提案していかなければならないと痛感しています。
私たち「高齢社会の住まいをつくる会」は、質の高いバリアフリー住宅を設計することにより、高齢社会における住文化を構築して行きます。また、混乱しているバリアフリー住宅等に関する情報を整理し、日本におけるオピニオン・リーダーとしての役割を果たして行きます。
高住会『新・バリアフリー15ヶ条』(2013年10月)の項目もご覧ください。
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