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昔はよく使われていた紙を使った建具を最近使うことが少なくなった。部屋の間仕切や収納の扉に使われた襖(ふすま)の代わりに板戸が使われるようになり、窓の手前で明かりの調整をしていた障子はカーテンやブラインドに取って代わられた。紙を使った建具は紙が破けた時の張り替えの手間から使うのが敬遠されるようになったのだろう。
障子は夏の強い陽射しを紙で遮断し、室内の気温が上がることを防ぐ。家具が日焼けすることも防ぎ、室内の明るさを一定にし、新聞や本など読みやすい環境に整える。室内空調をする時には、障子を閉めることで遮熱効果も上がる。白い紙は強い光を和らげる一方で弱い光を反射して、より明るくする効果もある。
襖の建具は木で作られた建具より軽くて開閉が楽。最近、私が勧めているのは雨戸代わりに襖を使うことだ。窓の手前に襖を設置するのだ。雨戸を使っている人で室内を暗くしたい場合には特に勧める。ガラス戸を開け、寒い外気に触れながら雨戸を開け閉めするより、窓の手前の襖を開閉する方が手軽だ。襖には断熱効果もあり、寝室の空調にも一役買ってくれる。襖紙は柄も豊富なので室内のインテリアとしても十分に楽しめる。
実務者会員 中村陽子 (創作工房И)
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