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古くから日本家屋で使われてきた引き戸が、バリアフリーの観点から今、見直されている。身体のバランスが取りにくくなってきたり、車いすに乗るようになったりしたとき、引き戸は開き戸に比べて開閉時の動きが少なくてすむ。音やにおいなどを遮断する気密性が少ないという欠点はあるものの、それを補う魅力がある。
引き戸を引込むためには開く寸法の倍の幅が必要なため開き戸を簡単に引き戸に改造するのは難しい。設計当初から引き戸にするかどうか検討しておくことが大切だ。
引き戸は昔ながらの敷居と鴨居(かもい)にはめ込む方式や、V字型レールを床に埋めて戸車をつけて動かす方式、上でつる方式などがある。後の二つの方法は大変滑りがよく軽いのが特徴だ。V字型レールは金属製のものだと開閉時にガラガラと音がするので使うときには木製レールを指定するとよい。フローリングやコルクタイルなどの床材とも相性が良く、使いやすい。
トイレなどは鍵を取り付けるが、性能の良いものが意外と少ない。引き手と一体になったものも出回っている。引き手は大きいものを付けると開閉もしやすい。
実務者会員 吉田紗栄子 (アトリエ・ユニ)
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