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冬暖かく夏涼しい住まいとして高気密高断熱住宅が登場している。寒さの厳しい地域では待ち望まれていた住まいである。だが実際住んでみた主婦から意外な悩み事をよく聞く。この住宅は快適な温度を保つために換気回数が決められているため屋内の風の動きが少なくなり、これまで常温で保存してきた新鮮野菜が日持ちしなくなったことだ。冷蔵庫の容量を増やしたり、漬物の保存場所さえ冷蔵庫の中にせざるを得なくなったりしているのだという。
マーケットに行けばいつも新鮮な野菜やすぐに食べられる産地直送の漬物が並んでいる。ときには無農薬の新鮮野菜をいただくこともあり、こうした最高の食材はできるだけ長く保存したいものだ。
台所周りの計画を立てる場合、自分の生活習慣に加えて食生活についてもじっくりと考えることが大切だ。
例えば見直してほしいのは勝手口の使い道。高気密ドアで仕切れば食糧貯蔵を目的とした空間と居住空間を分ける役割も持たせられる。さらに小さな流し台を配置すれば、土や泥のついたまま保存していた野菜の汚れを洗い流す場所として使えるほか、ガーデニングで必要な道具の保管場所としても活躍する。
実務者会員 松橋雅子 (M'sエムズ設計室)
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