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台所のキッチンセットやシステムキッチンの奥の壁にはたいていタイルが貼ってある。タイルは建築素材として歴史があり、イスラム建築ではその美しい色彩が尊重され、大量に使われている。ところがキッチンのタイルは汚れや染みで目地が黒くなったり、カビが生えたりして、高齢になると特に掃除が大変だ。
最近ではキッチン機器メーカーがキッチンの奥の壁を1〜2枚のパネルでつくる方法をすすめている。素材は不燃ボードの上に樹脂塗装したものと鉄板の上にホーロー仕上げをしたものがある。共に表面はふきんでさっと拭ける仕上げにし、つるつるになっているので、目地の悩みはなくなる。ただ、樹脂塗装のものは炎に弱くコンロの後ろには使いがたい。ホーロー製のものは下地が鉄板なので施工がやや難しいなどの欠点がある。
そこで、昔ながらのタイルだが、近頃は薄くて施工しやすい大型タイルがあるのでそれを使ってはどうだろう。一番大きなものだと1枚で900・×2400・ほどのタイルも出ている。炎にも強く汚れもつきにくい。何よりもタイルの持つ色の深みが魅力だ。大型なので施工は専門家に任せる方が無難だ。小型タイルを使うより費用は若干割高だか、その分のメリットはあるのではないか。
実務者会員 岡田安平 (岡田安平建築設計事務所)
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