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何かとストレスを感じることが多い現代の生活で、入浴は自分をゆっくり取り戻せる貴重なひとときだ。公衆浴場と違い、我が家での入浴はお湯の量や温度を自分好みに自由に調整出来る。今はやりの半身浴にはぬるめのお湯を浴槽に半分くらいまで入れて使う。逆に起きかけの眠気を覚ます入浴には熱めのお湯をたっぷり入れて入るなど入浴方法もいろいろある。入浴方法の多様化にともなって、メーカーも工夫をこらし、水栓の種類も豊富になってきた。
ところが、これまで家を建てた人たちに風呂の水栓についてどんな機種を注文したかと尋ねてみると、「施工会社に任せた」という答えが意外に多く、驚かされる。
最近はあらかじめ好みの湯量を設定しておけば自動的にお湯張りが止まったり、設定温度に合わせて湯と水を自動調節できたりするタイプなど優れた機種が少なくない。ショウルームに出向き、実際に試したうえで選ぶといい。これら利点は高齢期になったとき特に強く実感できる。物忘れが激しくなってもお湯を止め忘れる心配もなくなるし、握力が衰えても湯と水の混合操作が簡単にできるからだ。
たかが水栓、されど水栓。自分のライフスタイルに合った水栓を選べば生活の幅も広がるだろう。
実務者会員 佐伯博章 (地域総合設計)
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