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徳永栄一の徒然住まい日記



温熱環境のバリアフリー(1)

従来日本の家は、夏向きにできていると言われています。高温多湿の気候への知恵として、直射日光を遮り、風通しを考える工夫がそれとなく盛り込まれているのが日本の住宅なのです。

しかし、寒さへの対策は住まい自体には取られておらず、暖房機器に依存せざるを得ないのが現状です。また、暖房機器は居間や子ども部屋などに限定されており、素肌をさらすトイレや脱衣所、浴室などは外気温のままと言う家も少なくないと思います。寒さばかりはこの温度差が身体に悪影響を与えていることは周知の事実です。そこで、温熱のバリアフリーについては、温熱源と住まいの両面から考えてみたいと思います。

温熱源と言っても、さまざまなものがあります。ですので、暖房設備の選出は、性能だけでなく、価格や安全面、ランニングコストなどの多方面からの検討が求められます。

では、何が良いかとなると、とても難しい問題です。瀬戸内海温暖地域では、灯油ファンヒーターを使っている方も少なくないと思います。設備費やランニングコストに関しては、優れているものだと思います。(石油の価格が高騰しているので、これからはランニングコストが安いとは言いにくい時代に入るかもしれません。)

しかし、ファンヒーターは維持管理が必要になります。灯油を室内で燃焼させているのですからその排気を換気させるため一定時間に窓を開けるなどの強制換気が必要になります。また、タンクに給油させなければならないので、この手間は以外に負担感があります。寒い夜などは裏庭にでて寒い思いをしなければならず、大型のファンヒーターであれば、給油した後のタンクは結構な重量があります。


温熱環境のバリアフリー(2)

暖房器具で石油ファンヒーターの利点は、設備費や維持費など費用面ではお手軽感があることです。しかし、欠点として維持管理として室内換気や給油の手間などが、身体的な負担が大きなことがあります。

この暖房設備にはもう一つ問題があります。このタイプの機器は局部を暖房するものですから、暖房している部屋とそうでない部屋との温度差が大きくなります。家中に器具を設置していると温度差はありませんが、そのような家は余り見かけません。この温度差も身体に負担を掛けますので、解消したい重要な問題です。

また、ファンヒーターに特徴として床面に温風が吹き出してきます。足元を暖めるために、また、室内の自然対流から考えるととてもよくできていると思います。しかし、古い家で床面に断熱材が施されていない板材だと冷たい床面を温風が冷やされてしまい、なかなか温度が上らないこともあります。この場合、じゅうたんなどを敷くと断熱効果が上り、室内温度も確保しやすくなります。灯油の消費量も減りますので、エコにも貢献できるのではないかと思います。

他の暖房設備では、床暖房や輻射熱暖房、温風暖房(エアコン)などが考えられます。
床暖房は、空気の対流がないことと、足元から暖かさが感じられますので、快適な方法です。いわゆる「頭寒足熱」ですね。足元から暖かさがきますので低めの室温でも身体の心から暖かさを感じることができます。

また、室内に機器を設置しませんので、すっきり広々としており、室内で熱源を燃焼させないので空気を汚しません。空気を対流させないので乾燥もなく、加湿器の設置も必要がありません。対流がないので、埃などを舞い上げることもなく、衛生的な環境といえると思います。

しかし、部屋全体の空気を暖めるシステムではないので、寒さが厳しくなると床暖房だけで暖をとるのは難しいこともあると思います。特に、部屋が大きな場合や断熱性能が低い場合などは、他の暖房設備と兼用することが求められる場合があります。(多くは、エアコンと兼用しているようです)寒さが厳しい地域ではこの点が心配です。


温熱環境のバリアフリー(3)

床暖房の熱源には、電気式と温水式がありますが、施工面積のよって使い分けが必要です。部屋ことで使い分けをする場合は電気式で、面積が大きな場合は温水式が良いのではないかとおもいます。

イニシャルコスト面では、温水式はボイラー等の設備が必要なので、狭い面積では割高が否めません。また、冬場のみに使用するものですので、結構コストを掛けたけど年間3ヶ月ほどしか使わないという場合もあります。その場合も割高に感じてしまいますので、考慮しておかなければならない点だと思います。

最近注目されているものに、輻射熱の暖房器具があります。空気の対流もなく、火も使いませんので、衛生的で安全な暖房方法と思います。オイルヒーター等が一般的ですが、部屋ごとに設置が必要です。トイレや洗面所には電気式の小型のものがあり、タオルヒーターと兼用できるものもあります。なお、自然対流熱と輻射熱の機能を蓄熱式電気暖房器具もあります。これは、深夜電力を使用して、蓄熱体に熱を蓄え放熱するものです。

これら輻射熱の暖房器具も、家の断熱や機密性が高くないと性能が落ちますので、建築的な設えも十分にご検討ください。また、急速に暖める性能はないので、長時間使用するのだと考える必要があります。

セントラルヒーティングを含むエアコンの温風タイプですが、熱源を電気、ガス、灯油などでランニングコストが異なります。しかし、当初の設備費もそれぞれ違いがありますので、両方の試算表を業者に提出してもらうことが必要です。

温風式は、空気が対流することや乾燥することや高い位置から吹き出しますので頭が暖かくなることなどで、好き嫌いがありますので注意が必要です。

温熱環境を整えた住まいでは、タイマー設定で朝起きる前にスイッチを入れておくと、朝一番の台所の作業や洗面所での身だしなみが寒い日でも、春先のような気分で思わす口笛を吹きたくなるという話をクライアントから聞くと、うらやましい限りです。


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