■建築概要
所在地 茨城県那珂郡東海村
改築面積
構造 木造
建築期間 3日間
段差の多い日本家屋のために台所から土間へ、土間を通らないと浴室へは移動できないなど、下肢機能の弱った高齢者にとっては至るところに危険がいっぱいという住まいの相談をケアマネージャーから受けました。
対象者;女性(84歳)一人暮らし。加齢による肢の虚弱化に伴い、日常の移動動作が不安定になってきました。ご本人はヘルパーさんの家事援助と入浴介助、デイサービスを受けて日常生活をすごしています。
計画の目的:
住み慣れた家での生活を継続できるように、本人の動作を補助し、転倒を予防するために、環境を整備する。
改修に当たっては、住まいを訪問して、ご本人の希望と身体状況も含めて暮らしの状態を確かめ、どのような移動方法が良いのかを検討しました。幸いに、握力がしっかりしていましたので、手すりと床の段差解消の工夫をすれば、より安全な日常生活を過ごしていただけると判断して改修を進めました。
事例B 日常生活動作の補助-2
計画概要;
・寝室…布団から起きるときのために、柱に60cmの縦手すりを設置。畳から手すり下端までの高さは、35cmとしました。
・寝室からトイレへ…寝室からトイレへは書院窓前廊下を通過するため、移動を補助する横手すりを設置。夜中でもスムーズにトイレを使用できるようになりました。
・浴室…移動の安全と介助のしやすさを考え合わせ、入浴動作に合わせて、手すりを3箇所設置しました。
・茶の間から浴室へ…靴を履いて土間を通過しなくても済むように、土間から段差43cmの板敷き部分と浴室側脱衣室(土間から12cm上がり)とをつなぐ階段3段を含む床上げと手すりの併用により、移動の安全を図りました。
・茶の間からキッチンへ…キッチンへの移動には段差20cmがあり、この部分の柱へ、たて手すり2本とステップ台を設置しました。
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キッチンから土間へ…段差10cmの昇降のために変形手すりを設けて移動しやすくしました。
改修前
下肢機能が低下した高齢者には転倒の危険がいっぱいの段差の多い日本家屋。
段差を完全に解消するには大掛かりな工事が必要になります。生活を継続するためには、経済的負担の少ない安全策を講じられるか現実的な対応策を迫られます。
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