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とかくバリアフリーと言えば、段差をなくす、手すりをつけるといった事に偏り過ぎているように思う。見逃されやすいのが視力のバリアへの配慮である。高齢期への視覚的な配慮について「色彩計画」は重要だ。部屋の縁、端にあたるところに異なった目立つ色彩を施し、色の対比をうまく使い分ければ、様々な危険を取り除くこともできる。
例えば同じ色調だと段差に気付きにくいので、段差がある所では同じ色調を避けた方が安全だ。壁から突き出た棚でも同じ色調だと棚が壁に溶け込み、目などぶつける危険もある。扉のつもりで建具枠に手をかけて爪を傷つけたりする危険を避けるためには、出入り口の枠と建具の色調を変えると良い。そのほかにも衝突防止のために床と壁の色調を変えたり、つまずきを予防するために階段とノンスリップ材 (滑り止め)を違う色調にしたりすることも挙げられる。
一般的に弱視者は黄色が見えやすいといわれるが、高齢者の黄濁した目には逆に黄色は見えづらい。段差の縁のノンスリップには黒をベースに赤のストライプが入った配色などが有効だ。
実務者会員 吉田誠治 (夢設計)
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