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年を重ねると視力も衰える。眼鏡をかけて新聞を読む方も多いことであろう。眼鏡のように衰えた機能を補助する機器が福祉用具である。持ち運び可能な入浴補助いすや、階段に設置され腰掛けた状態で人を上階まで運んでくれる階段昇降機も含まれる。福祉用具に通じていれば身体の状況の変化に対応する方法を速やかに取れる。
福祉用具を目的通りに使うためには建物にも備えが必要だ。階段昇降機は直線階段や回り階段に取り付けられるが、直線階段の方が格安で設置できる。階段の幅を通常より30センチほど広く取っておくと設置もしやすい。
昇り口や降り口の周辺にも配慮がいる。昇り口では昇降機のいすの軌道であるレールが階段の1段目から30センチほど突き出るので、広めにスペースを取るなどつまずかない工夫がほしい。降り口ではいすに乗り降りするときに階下方向に落下することがないように軌道が延長できると安全だ。いすへの乗降動作の補助には介助者が動くスペースや手すりの取り付けも考慮するとよい。
階段昇降機に限らず、ほかの福祉用具でも設計時に対応しておくと後々、使い勝手がよくなることが多い。将来を見越しておけば、安心感も増すであろう。
実務者会員 宮島敦子(宮島住環境デザイン室)
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