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高齢期の住まいのあり方では、いすの活用を勧めることが多い。ただいすの利用を住居設計の基本に置くと日本の生活スタイルに幾つか影響を与えることがある。その一つが仏壇だ。
元来、仏壇は正座して向かうようにデザインされている。いすに座って向かうのはあまり居心地が良いものではない。またフローリングの床に座布団で座るというのも使い勝手が悪い。今は洋風仏壇も出回っているが、わざわざ買い替えるのも気が進まないものだ。
そこで私は最近、いすに座って拝んでも違和感のないような仏壇収納家具を提案している。形は洋服ダンスをイメージして欲しい。それを上部と下部に分ける。下部は床から60センチ程度の引出にする。スライディングボードを設置しておくと、祭祀(さいし)に仏具などを並べることが出来る。その仏具を収納するために深い引出しが1段あると便利だ。
上部の扉は、仏壇自体の扉の開け閉めに影響が出ないように要注意。4枚の折り戸にするか軸回し金具を使用して引き込み戸にすればよいだろう。また、コンセントを内蔵しておくことも忘れずに。特注対応になるので金額は少し高めになるが、その価値は十分にあると思う。
実務者会員 徳永栄一 (フォルム設計企画一級建築士事務所)
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