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畳に新聞を拡げて寝そべって読む楽しみは捨てがたいものだ。だが足腰が弱ってくると畳に座って暮らすより、いすに座って暮らすほうが膝にも負担が掛からず、立ったり座ったりも楽なので活動的に過ごせる。
ただリビングを造ってソファーセットを置いたものの、なぜかそこで家族がくつろがず、接客スペースになっている家も案外多いようだ。家族がそろって食事はできなくても、たいていの家族の団らんは、帰宅してきた人が食卓を囲むときから始まるものだ。食後もそこで新聞を読み、テレビを見ながらお茶を飲み、会話をして、寝るまで食卓周辺でのんびり過ごせるようになっていれば、自然と家族の団らんの機会も増えるだろう。そのためには誰かが食事をしていても、同じ場所でほかの家族がゆっくり新聞でも広げられるように余裕のある大きなテーブルを選びたい。
十分な家の広さが取れなければあえてリビングを造らず、食卓周辺を団らんの場と割り切っても良い。その方が空間的なゆとりもできる。家の中で一番快適な場所に小物をしまっておく収納などを整えて、ちょっと広めに造るのがコツだ。大きなテーブルとともに、長時間座っていても快適ないすをそろえれば、心の通い会う接客スペースにもなるだろう。
実務者会員 沼田恭子 (沼田恭子建築設計事務所)
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