今年6月、階段から転落し頚椎損傷により車いす生活になった、67歳の男性の住まいを改造している。
入院先の七沢リハビリテーションセンターと、転院した所沢リハビリテーションセンターにO.T.、P.T.を訪ね、クライアントのA.D.L.の可能性をアドバイスしてもらった。どちらも日本を代表するセンターだけあって設備もととのっているため、
何m/mの段差なら越えられるのか、何度のスロープならのぼれるのか、ベッドへの移乗は・・・等々、実物を使ってクライアントに動作をしてもらうことができた。
もう一つのケースはパーキンソン氏病の78歳の男性だが、この方の場合は自宅で生活しており、リハ通院もしていないが、1年前までかかっていた虎ノ門病院のO.T.の方にアドバイスをお願いした。「1年前の状態からの推測だが」と前置きをしながらも、病気特有の動作から、トイレの向きやリハビリに使う平行棒の巾や高さなど、きめ細かく教えていただいた。
どちらのケースも、建築側の対応に興味と驚きを示され「こんなこともできるんですネ」といわれた。私の方は大助かり、自信をもって施工にあたれる。
このように、経験豊かなプロの方にアドバイスをいただきながら仕事を進められるケースは多くはないかもしれない。しかし、お互いの専門分野を尊重しながら、クライアントに一番あった方法で住宅をつくれるケースが一件でも多くなればよいと、改めて思った次第である。