トップページ お問い合わせ サイトマップ
 
 
 
トップページ > 徒然住まい日記(バリアフリーとは)

徳永栄一の徒然住まい日記




バリアフリーとは(1)

住宅を考える場合、シニア層の方の「バリアフリー」の捉えかたには二通りあるような気がしております。一つは、「自分にはまだ必要でない」もう一方は、「今から準備をしておくべきだ」です。しかし、この二つはバリアフリーを、「介護を意識している特別なもの」という考え方から来ているもので、バリアフリーを特別視しているという点では共通していることが分かります。

果たして、バリアフリーは特別視しなければならないものなのでしょうか。このことを背景に、住まい方の提案をつづって行きたいと思います。

耳慣れた言葉に「注文住宅」があります。これは施主(今後は、住まい手)が自分の住み方や生き方を建築士や工務店(今後は造り手)に伝え、それが反映されたオーダーメイドの住宅を指しています。

これと同様にバリアフリーに配慮した住宅は、住まい手が望む「高齢になっても、障がいをもっても、居心地のよい快適な家」というリクエストに答えることが可能な住宅をいいます。

ただ、注文住宅とバリアフリー住宅との違いは、注文住宅は「間取り」や「設備機器」などが打ち合わせの中心になりますが、バリアフリー住宅は、それらに「身体機能」や「将来の予測」など「ヒト」に関することや、医療・福祉サービスなどの社会資源活用への配慮が加味されることです。

ここで忘れてはならないことは、住まいとは居心地のよいことが基本ですので、身体機能や将来的な予測などは、加味されるものであって、決して強調されるものではないということです。住宅の快適性を左右する温熱環境や採光、通風などもバリアフリーには必須の視点なのです。

一方、市場には「バリアフリー機器や製品を集めて、設計するとバリアフリー住宅ができる」という誤解があります。これは次回に取り上げてみたいと思います。


バリアフリーとは(2)

バリアフリー住宅という言葉が、いつ誕生したのかは諸説あると思いますが、市民権を得るまでに広まった要素に、1996(平成8)年に住宅金融公庫(現・住宅金融支援機構)が出した「バリアフリー住宅割増融資」があるように思います。

これは日本の高齢化率が14%を超え高齢社会に突入しており、介護保険法が国会に提出された年でもあり、高齢者により良い住まいを造ることが重要であるとの判断からでした。でも残念なのは、これで「バリアフリー」が「高齢者」と同意語であるような気風が生まれたことです。

公的な機関でバリアフリーが制度化されると市場も動きます。手すりやミニスロープなどの建材類、便器や洗面器などの設備機器など色々なものが、高齢者用として発売されるようになりました。これらを展示するコーナーには「バリアフリー製品」という看板の設置されており、バリアフリーは高齢者用であると認識していることを表していました。

このようなに出来たバリアフリー製品には、流行だから作ったようなものやその場つなぎで製作したものも少なくありませんでした。バリアフリーを実務としている仲間とは、「この製品はどのように使うのか」と話し合った製品も数多くありました。

また、その頃のバリアフリー製品と打ち出しているものは、色や形に選択肢が極端に少なく、美観的なセンスが感じられないものも多くありました。まるで「福祉にはデザインは必要ない」とでもいっているように受け取れ、寂しい思いをしたことを覚えています。

これらの問題は、社会的に住環境と高齢者との問題点が詳細に話し合われた時間が余りにも短く、工業デザイナーや建築家、福祉実践者、リハビリ関係者などが職域を越えて話し合う機会がなかったことで生じたと考えられます。

バリアフリーは、その場つなぎや流行でできるものではないことを証明していると思います。


次の日記へ
NPO法人高齢社会の住まいをつくる会

高住会とは?

会の概要
入会について
関連書籍など
バリアフリー住宅・リフォームのヒント・実例・商品など
住まいづくりの流れ
ワンポイントアドバイス
実例
おすすめ商品
制度を使った住宅改修
制度の紹介
改修の事例
住宅相談のご案内
個別相談
ネット相談
バリアフリー住宅の設計者紹介
設計者紹介
イベントのご案内
セミナー、見学会など
リンク他