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木は常に人気の床材だが、素材により足触りや暖かさが違う。フローリングと総称される床材には多くの種類がある。まず大別して、合板の上に薄い板材を張ったものと全体が無垢(むく)の木のものとだ。合板は床暖房でも狂いが少なく、床に物を落としたときの振動が下の階に伝わらないようにゴムのクッション材が取り付けられたものもある。
無垢の木の床材は、昔はクリやサクラ、ナラといった堅い木を使うのが主流だったが、最近ではパインやスギ、キリなどの軟らかい木が好んで使われる。無垢の木の多くは調湿性に富み、室内の湿度を適度に保つ働きがある。これを生かすために塗装には透湿性のワックス系を使うと良い。
木を並べ、触ってみると堅さにより暖かさが明らかに違う。通常、軟らかい木の方が暖かい。軟らかい木は比重が軽く、空気を多く含むからであろう。軟らかいということは寸法の狂いが生じやすかったり、家具で傷つけやすかったりするが、考え方を変えてみると床が傷つくことによって、ほかを傷つけない素材ともいえる。
無垢の木は熱で伸縮するので、床暖房に使えるものは限られる。乾燥したもの、1枚に見えるが集成になっているものを使うと狂いが少ない。
実務者会員 中村陽子 (創作工房И)
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