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完成直前の窓を締め切った住宅の建設現場に行くと、目がちかちかして開けられない場合がある。新建材や接着剤から放出されるホルムアルデヒドなどの化学物質が、部屋の中に充満しているためだ。
住宅にいる時間の長い乳幼児や高齢者にとっては建材から出る有害物質は即、健康状態の悪化を招きかねない。その中でも気をつけなくてはいけない個所が寝具を入れる押し入れである。睡眠中、汗を吸い込んだ寝具は閉め切った押し入れの中で化学物質などを吸収する。夜にはその寝具の上に赤ちゃんからお年寄りまで人は身を横たえ、化学物質を体に浴び続ける。これは体に良いはずがない。
最近ではベニヤや壁紙、糊(のり)など多くの建材でノンホルムアルデヒド製品が出ているので施工業者まかせにせず確認することだ。国産の無垢 (むく)の木材やしっくい、珪藻土(けいそうど)といった塗壁材はこうした化学物質を吸着する性質があるので、そうした材料を使うのも良いだろう。
これらは同時に調湿性能を持つものが大半である。それは汗を吸い込んだ寝具にも有効だろう。押し入れの湿気対策では、すき間板のついたふすまを取り付け、自然換気できるようにするのも一案である。
実務者会員 吉田誠治 (夢設計)
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