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長寿県沖縄での話。百歳を越えて家事一切をこなし、自立しているおばあさんがいる。座敷に上がり込んだふらちなハブをハエたたきで気絶させ、退治してしまうほど元気だ。このタフなおばあさんが自立できる理由に、近くに住んでいる80代の子供たちや近隣の人たちとの頻繁なコミュニケーションがあるという。毎日、だれとなく縁側に集まり、おしゃべりをして帰っていく。このような地域の人たちとの触れ合いが、おばあさんを支えているのだ。
地方ならでは、と切り捨ててしまうには惜しい話だ。では、縁側がすたれた都心部や新興の住宅地ではどうすれば良いのか。道路に面した敷地の一部に、私設の「ポッケットパーク」を造ることを提唱したい。私有地を公道に開放するのだから、狭い敷地の場合は難しいかもしれない。だが塀を利用して2〜3人が掛けられるベンチを設置するだけでも良い。そのベンチに庭の木が木陰でも作ってくれたら快適だ。門や車庫の近くに1坪 (3.3・)か2坪の広さがあれば、井戸端会議を復活するのに申し分のない場所が生まれる。こんな「ポッケットパーク」は高齢社会を地域で支えるためのコミュニケーションの場を作ると同時に、豊かな街づくりにも貢献するだろう。
実務者会員 永山盛孝 (一級建築士事務所 団設計工房)
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