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雨の多い気候や生活習慣から、家の内と外で履物をを履き替える日本の住まいには、玄関の上がり框(かまち)に段差がある。近所の知合いが訪ねて来た時に靴を履いたまま上がり框に腰掛けてもらい、お茶などを出し、家人は床に座って簡単な応対や世間話をしてきた。来客が気軽に腰掛ける高さとしては30センチくらいは欲しいし、靴を履きかえるにもこの段差は便利だ。
ところが年を取って足腰が弱ってくると、この段差はやっかいだ。式台を設けて階段状にしていても上り下りしたり、靴を脱いだり、スリッパに履き替えたりなど片足立ちになって複雑な動作をすると姿勢を崩しやすく危険だ。
将来のことを考えるならば、上がり框に腰掛けの役割を担わせるのはあきらめて、段差は18センチ以下にするのが望ましい。その代わりに玄関の土間の部分を広めにとってベンチを置くことをお勧めする。ベンチがあれば、いままでどおり買い物帰りに荷物を置いてから座って靴を履き替えられるし、靴磨きをするときにも便利だ。
マンションなど狭い玄関の場合は、壁に取付け、折り畳んで収納のできる壁付けベンチも市販されているので、検討してみると良いだろう。
実務者会員 沼田恭子 (沼田恭子建築設計事務所)
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